営業ロープレの目的と進め方|成果を上げるための5つのポイントを解説
2024/11/26
この記事では、営業ロープレについて関心がある人を対象に、その目的、進め方、成果を上げるためのコツなどを紹介していきます。お読みいただくことで、効果的な営業ロープレについて理解を深められますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
営業ロープレとは?
営業ロープレとは実際の営業現場で起こり得るシーンを想定してそのやり取りを通じ、新人などの営業担当者が営業トークや対応力を訓練するという研修手法の一つです。
例えばテレアポであれば、上司や先輩が架電相手となる顧客役を演じ、その顧客役に対して新人営業担当者が実際のテレアポ場面を想定したセールストークを実践します。
ちなみにロープレとはロールプレイングの略で、「ロール(役割)をプレイング(演じること)」という意味です。
営業ロープレの目的
言ってみれば当然のことですが、営業ロープレの目的は営業スキルを高めるためのものです。
ロープレを通じて接客能力やセールストークを磨くことで営業部門、ひいては会社全体の力を上げるために行うので、実践的であるなど適切な方法で営業ロープレを行うことが重要です。
営業ロープレの重要性
世の中の変化が早くなり、顧客のニーズが複雑化・多様化しているために営業活動環境も大きく変わってきています。こうした状況下、営業担当者はやはり高度なスキルや知識を身につけておくことが求められます。
具体的には、顧客の質問に対する迅速かつ適切な応答力、そのために臨機応変に対応する能力、説得力がありスマートな商品説明技術、顧客企業の強みや課題・競争環境などの知識、顧客心理を読み取る力、ストレス管理・対応力、クロージングスキルといった一連の営業能力が必要なのです。
営業ロープレを繰り返すことで、担当者はこれらのスキルを高めることが可能になります。そして、それぞれの営業担当者がしっかりとこれらのスキルを高めることで、今日の容易ではない営業活動に立ち向かう態勢作りができるといえるでしょう。
なお、ロープレを行うことで営業担当者へ効率的な訓練を実施できることや、訓練の指導側としても新人や不慣れな営業担当者の得意・不得意を把握できたり、指導者自身の新たな気づきや内省につながっていくメリットもあります。
効果的な営業ロープレの進め方
営業ロープレの目的や重要性についてはお分かりいただけたのではないかと思います。そこで、続いて効果的な営業ロープレの進め方について紹介します。
Step1:目標を設定する
まずはその営業ロープレの目標を設定しましょう。
ロープレは目的ごと、つまり「新人向けの基本的な営業スキルの習得」「顧客対応力の強化」「既存顧客への提案内容のブラッシュアップ」「新商品・新サービスの販売スキルの習得」といった目的ごとに設定内容などの準備や評価ポイントなどが変わってくるのはもちろんですが、目的に基づく目標設定によってもロープレの準備は変わってくるでしょう。
その準備を考慮して、目標を最初に設定しておく必要があるのです。併せてロープレ実施のスケジュールも立てておきましょう。
Step2:ロープレの設定を具体的にする
ロープレは実践的であるべきで、その設定も具体的にするのが効果的です。以下のような事項をしっかり設定しておくとよいでしょう。
- 商談の種類:テレアポ、新規顧客訪問、既存顧客訪問、アポなし訪問など
- 顧客属性:業種、規模、部署・役職、課題など
- 状況:商談のフェーズ、顧客の心理状態など
- 目的:契約締結、提案、情報収集など
繰り返しロープレを行う中では、例えば相手役がどんな雰囲気の人かといった設定も含め、色々なタイプの相手とロープレを行っていくことも有益でしょう。
また新商品のセールスや顧客の新たな課題発掘などを目的とする場合にはリサーチを行うことも必要になってきます。より実態に沿った訓練ができるような設定をしたいですね。
Step3:役割を割り当てる
設定が具体的に出来たら、ロープレの役割を割り当てましょう。以下の3つの役割があります。
- 営業担当者:ロープレの主役で、実際の営業活動で想定される状況に対応しながら、営業トークや対応力を練習する。
- 顧客役:営業担当者に対して、顧客の反応や質問をする。
- 観察者:営業ロープレを客観的に観察し、評価やフィードバックを行う。
先輩が営業担当者の役割を演じることで、新人営業担当者が先輩のテクニックを学ぶ機会とすることも可能です。
なお、観察者とは別にスマホ、カメラ等での映像記録を残す係もいるといいでしょう。身振りや手振り、目線や姿勢など視覚的情報も重要な要素であるため、動画として記録しておくと有益です。
Step4:前準備をしっかり行う
役割を割り当てたら、事前準備として以下のようなものを用意します。
- 台本:営業トークや質問、顧客の反応などを想定した台本を作成する。
- 商品・サービス資料:顧客に説明する商品・サービス資料を用意する。
- 必要な備品:想定場面によりテレアポやオンライン商談用の機材を用意する。
- フィードバック用チェックシート、記録メモ
営業担当者(営業担当者役)は顧客役に対してどのような提案を行うのか考え、必要な情報を確認して資料を準備しておきましょう。また、台本の中では多様な問題を取り入れることで営業担当者を幅広い状況に対応させ、柔軟性や臨機応変な対応力の向上につなげられるでしょう。
一方、一度のロープレ時間が長くなると、指摘や気付きのボリュームが多くなり、全てを吸収できないまま次回のロープレを迎えることになります。そこで、商談の最初から最後まで全てのロープレを毎回行うのではなく、前回の反省を踏まえ、苦手な提案だけ、クロージングだけといったように部分的に行うことも効果的です。内容にもよりますが、目安として15分〜30分程を1セットで進めていくといいでしょう。
そしてロープレでは振り返り、フィードバックが非常に重要なのでそのためのチェックシートも必ず作成しましょう。項目例としては以下のようなものが挙げられます。
- 見た目の印象や清潔感に問題はないか
- 何のための商談か理解しているか
- 自己紹介、名刺交換を印象よくできているか
- 身振り手振りや相槌、声の柔らかさなどに問題はないか
- 顧客の概要を調べているか
- 顧客の現状の問題点は何か
- 顧客の問題点に対する対策は何か
- 問題点と自社商品やサービスを結び付けられて考えているか
- 顧客が話しやすい雰囲気を作っているか
- 顧客と商談内容に関して合意できているか
- 顧客の課題が解決できるのか
- クロージングが適切にできているか
Step5:ロープレを実施する
準備ができたら、いよいよロープレを実施します。ぜひ実際の営業場面を想定し、実態に近いリアルな環境を作り出していきましょう。
観察者の注目点としては以下のような点が挙げられます。
- 営業トーク:顧客の興味を引く魅力的なトークができているか
- プレゼンテーション:商品やサービスの価値を分かりやすく伝えられているか
- 交渉:顧客のニーズを理解した上で、双方が納得できる提案ができているか
- 顧客対応:顧客のクレームや要望に適切に対応できているか
- 時間配分や声のトーン、表情、態度など
また、実際の商談が長時間に及ぶ場合もあることや、ロープレを繰り返し行うことが理想であることから、効率化を図るためには苦手なステップを重点的に実施し、練習の必要がないステップは飛ばすなど臨機応変に実施するといいでしょう。
Step6:フィードバックを行う
ロープレにおけるもっとも大事なフェーズはこのフィードバックにあるといって過言ではないでしょう。ロープレを終えた時点、場合によってはその途中であっても、良かった点、悪かった点などをすぐに指摘しなくてはいけません。
そして営業と顧客それぞれの立場で遠慮することなく意見を出しあい、改善すべき点がどこにあるかをしっかりと議論します。このように気づきや知見を共有することが、営業スキルや接客スキルの向上につながっていくのです。指摘、フィードバックのないロープレでは十分に訓練成果が挙げられず、意味がないのです。
もちろん、これはフィードバック時に褒める必要がないということではありません。「良かった点」と「こうしたらもっと良くなる点」をセットで伝えるといった具合に褒めることも大切です。
また、未熟な営業担当で指摘が多く必要な場合でも、ロープレの全体時間の中でフィードバックを聞かされる時間の割合が極端に高いと、実演によってスキルを高められるというロープレのメリットが提言してしまいますので留意したいところです。さらに、ロープレを受ける側が指摘した事項などは、チェックシートと共にメモをして残しておきましょう。そうすることで、同じ事象が再度出てきた際に、苦手な部分が見えてきたりもします。
効果的な営業ロープレを行うためのポイント
ここでは、効果的なロープレを行うためのポイントを紹介します。
定期的に行って習慣化する
一回の営業ロープレの時間が長くなると、その分フィードバックも長くなるため、情報量が膨大になり、吸収できない可能性もあります。あるいはフィードバックそのものが不十分になる場合もあるでしょう。そうなるとあまり意味がありません。
全てを一気に改善しようとせず、プロセスを分解し短いロープレを何度か繰り返しながら、ノウハウを身に付けさせるほうがより効率的です。例えば、30分程度の営業ロープレを週3〜4回の頻度で行うといった具合に、定期的に行い習慣化させましょう。
様々なパターンや設定で行う
営業の実務では当然、顧客ごとに様々な状況や背景があり、想定外の質問も出てくることでしょう。そのため、ロープレでは実際の現場を想定して、過去にあったような様々な状況を再現して実施することで、対応する際の引き出しを増やすことができます。理想をいうと、短期間に多くの設定のロープレを行うことで、より営業スキルや柔軟な対応力が身につけられるでしょう。
また意外性のあるようなケースも含めるなど多様なシナリオで行うことで、形式的なロープレになったり、予定調和的で単調なロープレになることを防ぐことが可能です。
まとめ:ロープレをおこなうことで営業としてのスキルアップを目指そう
この記事では営業ロープレの目的や重要性、効果的な営業ロープレの進め方、効果的に行うためのコツなどについて説明してきました。それぞれについて、よくお分かりいただけたのではないかと思います。
ぜひ実践的、効果的なロープレを行うことで、成果を挙げられるように営業としてのスキルアップを目指していきましょう。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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